出品作家紹介 しんたに ひとみ 氏(漆芸)
故郷の広島で高校のとき日本伝統工芸展をみて漆芸に惹(ひ)かれて、富山の大学で漆芸の基礎を学んだ。その過程で螺鈿や平文という技法に興味を抱き、恩師の薦めから、螺鈿の人間国宝北村昭斎氏に弟子入りする。
奈良にはそれまでにも何度か正倉院展を見に訪れていた。天平の漆器の代表的な技法で自分の作品をつくれたらと懸命に修業。昨年日本伝統工芸展で高松宮記念賞を受賞。若手としては異例の受賞となる。
作品のモチーフには子供の頃から好きだった昆虫をよく用いる。受賞作もカミキリムシをイメージした漆箱だった。昆虫の造形に、漆、螺鈿、平文の技法は親和性があるようだ。しんたに氏は、「今後は昆虫だけでなく、その周りの環境や、できれば恐竜などもモチーフにしたい」と話す。