出品作家紹介 太田 佳男 氏(一刀彫)
18歳で大阪の生人形師の下で職人として第一歩を踏み出す。彫刻家の兄の影響で28歳のときに奈良人形の世界に飛び込んだ。一刀彫中興の祖といわれる森川杜園を目指しながら、現代人の感覚にも合った、今しかできない人形づくりを心がける。
一方で、春日大社の「有職奈良人形師」を務める。春日大社の仕事をする際には「有職故実に忠実であること、自分のつくるものが春日大社にふさわしい品格を備え、あわせてそこに信仰心が反映されていること」を心がけているという。また、春日大社からのどんな要望にも応えられるように、日々技術を磨いて精進を重ねている。
「この道は効率の良い学び方が難しく、体で覚えるしかない」と、先達のものづくりを見て覚え、ときに自ら狂言を演じながら伝統文化を体に染み込ませる。その結果として「自分の彫るものによって、技術や彩色以前に、木の中から出てくる生命感を表現できれば。今回出展する作品を通して、それを少しでも感じていただければ幸いです」と話す。