出品作家紹介 太田 佳奈子 氏(一刀彫)
一刀彫の太田佳男氏の一人娘。就職していたが、今のうちに習っておかないともったいない、と30歳の時に父に弟子入り。父は反対しつつも黙って応援してくれた。
一刀彫の世界に入ってわかったのは、シンプルな形や意匠は積み重ねた伝統の結果、形成されているということ。伝統を継承する大切さと、そこに自分のオリジナリティーとして新しい部分を加える必要性を感じる。しかしそれが難しいということも痛感している。
代表作の「五節句香合」は、五つの節句とそれにちなんだストーリーを香合で表現し、茶席などで主人のお話の種になるよう考えられている。
父だけでなく伯父も一刀彫作家。尊敬という言葉も恐れ多いという。自身は女性らしい、柔らかでほっとするような味わいの作品を目指す。お雛(ひな)様などの節句人形は、贈られた人、贈った人が幸せであるよう一生懸命心を込めて作りたいと話す。