出品作家紹介 荒木 義人 氏(一刀彫)
荒木義人氏は、国立奈良高専を卒業し、化学工業でエンジニアになるつもりだったという。しかし、オイルショックで希望する就職先がなく、困惑している時に、奈良県が伝統工芸後継者の養成を目的とした学生を募集しているのを知り、応募した。たまたま一刀彫を選んだ。それがこの道に入ったきっかけだった。
彫刻家の竹林薫風氏に師事し、2年後から県展への出品を始めた。自分も師匠のような作家になりたい、ただそれだけでひたむきに制作に励み、1984年に県展賞を受賞。これ以降、文部大臣奨励賞、日展入選などの実績を築き上げていく。
一刀彫は、工芸としての部分と、彫刻としての要素が混在している。この両方を磨き、より芸術性の高い作品を目指す。自身の目標である。
2002年に天皇皇后両陛下への献上品「立雛」を制作するなど、その実績は高く評価されている。その努力が、一刀彫への恩返しになると思っている。