第8回「奈良工芸の粋」展 令和6年3月14日(木)~18日(月)
@名勝依水園・寧楽美術館

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令和6年3月14日(木)~18日(月)
@名勝依水園・寧楽美術館

出品作家紹介 岸本 圭司 氏(漆芸)

 奈良漆器の作家のなかで、岸本氏の経歴は少し変わっている。高校から漆芸を学び、卒業後は輪島で漆技法を学んだ。きらびやかな螺鈿(らでん)に特徴をもつ奈良漆器に対して、輪島は、蒔絵(まきえ)や平文などの装飾技法で広く知られる。

 長く輪島の漆器を探求してきた岸本氏が、螺鈿を始めたのが約20年前。「それまでは、白の装飾には卵の殻を使っていましたが、貝を使うようになって、奈良漆器の技法の面白みがわかってきました」と岸本氏は話す。

 輪島と奈良のクロスオーバーする地点で、岸本氏がこだわるのが「空間」。「花を描くにしても、花自体の美しさよりは周囲と花とがつくる空間を描きたい。だから、キリッとした花ではなく、風にそよいでいる花、少し不完全で色気を感じさせるような花の瞬間をとらえたい」。作品全体の構成にしても「螺鈿や蒔絵で描く図と背景となる漆の地とのバランスは何より大切にしています。漆の黒は作品のなかで特に重要な要素のひとつです」。多様な技法を駆使しながらも、岸本氏は、見かけの派手さより、ひっそりと落ち着いた輝きを放つ作品づくりを目指している。

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