出品作家紹介 金本 卓也 氏（陶芸）
豪快な土の動きと美しい緑釉。陶土の力強さを最大限に引き出す作風で、独自の織部の世界を構築する。
金本氏は奈良市に生まれ、大学では経済学を専攻するも、陶芸の現場に身を置きたいと、瀬戸へ。愛知県立窯業高等技術専門校を卒業後、武村豊徳氏に師事した。瀬戸で緑釉に出会い、土の持つテクスチャーと相まって無限の可能性を感じたという。自身の創作活動は「土の表情さがし」であるとし、カメラマンが被写体の一番いい表情をファインダーで切り取るように、自分も土が一番いい表情になった瞬間を作品にしたいと考える。
金本氏の器は奈良の料理界を牽引（けんいん）する店でも使われている。「作家が作品という形で提示したものを、いい意味で裏切る料理人の器使い。作り手と使い手の、器を通じたやりとりは面白みと緊張感があって好きです」と話す。