出品作家紹介 井倉 幸太郎 氏(陶芸)
父親が柳生焼の陶芸家で、幼い頃から焼き物には興味があった。ところが、息子が自分と同じ仕事をするのに抵抗があったのか、焼き物に携わることを父親が許してくれたのはようやく大学に入ってから。
それでも、大学は陶芸科で、在学中にある展覧会で塚本快示氏の作品を見て衝撃を受けた。そのときから青白磁づくりを志すようになった。
青白磁ではすでに数々の実績を積む井倉さんだが、近年は「蛍手」という器体に透かし彫りを入れてそれを釉薬(ゆうやく)で埋める中国古来の手法で注目を集める。この繊細な技法を通じて、釉薬の美しさをどう表現するのかを日々探求する。
さらに「磁器だけでなく、地元の柳生の土を使った柳生焼にもどんどん挑戦していきたい」とも話す。伝統とモダンの間を縫って、どこまで土の表現が可能か、井倉さんの歩みは止まることがない。